アドバンストスパイナルモビリゼーション機器(ASMI)

脊椎モビライゼーション

マニュアルセラピーの始まりは紀元前460年、ヒポクラテスの時代までさかのぼります。脊椎モビライゼーションが理学療法のテクニックとして一般的になったのは、1950年代初期のことです。当時の最も著名な理学療法士のひとりに、ジョフェリー・メイランド氏が挙げられます。メイランド氏によって、脊椎“モビライゼーション”(“整骨”とは区別される)が、脊椎や椎骨調整の技法として広まりました。今日、彼をはじめとしたマニュアルセラピストの技術は重要視され、多くの理学療法学校で学ばれています。

アドバンストスパイナルモビリゼーション器機(ASMI)

通常、理学療法士は自らの手を使い脊椎/椎骨のマニュアルセラピーを施します。効果のある治療を行うためには、患部への的確な力・スピードをもって治療を行うことが必要とされますが、実はこれはとても難しく、また患者さんにとっても不快な気分になることが多くあります。これらの問題点を解決するために開発されたのが、このアドバンストスパイナルモビリゼーション器機(ASMI)です。ASMIは現在、アメリカ・FDAから脊椎の筋骨格系関節への補正・モビライゼーション・整骨という項目で認可を受け、各認定セラピストの使用が認められています。ASMIは、まるでセラピストの手においてトリートメントが行われているかのような動きをし、また患部のモビライゼーションを的確に施すことが出来ます。この機械を使うことにより、長時間のトリートメントを行える・セラピストの身体に負担がかからない・手で行うトリートメントよりも格段に時間が短縮できるなどの多くの利点があります。

現在は、イギリス・カナダ・オーストリアリア・ニュージーランド、そしてアイルランドにて、5年以上の実績があり、理学療法士の間で支持されています。コントローラーには、4つのパッドが搭載されており、電機空圧によって動きます。これらのパッドは、対角線上にある対のペアが、脊椎の大きさと同じ感覚でセットされています。トリートメントは3つのモードによって行われ、ウォーミングアップモード・リカバリー/リフレックスモード・モビライゼーションモードの3つがあります。セラピストは、それぞれのモードを使い分けながら、様々な角度から、患者さんの状態に合わせた刺激を与えることが出来ます。

下記の絵に示されているように、ASMIは隣接する脊椎へ、対角線上の対になる脊椎から刺激をを与えることに使用されます。関節の状態が、与えた刺激の結果を大きく左右します。トリートメントを行う前は、関節は硬く、緊張した状態にあるかもしれませんが、トリートメントの目的は関節のモビライゼーション力(可動域)を取り戻すことにあるのです。

ユニークなトリートメント法

トリートメントを行う際、患者さんは特別に設計されたベッドにてうつぶせの状態になります。ウォーミグアップモードは、トリートメントの最初と最後に使用され、患者さんをリラックスさせます。

リカバリー/リフレックスモードでは、対のパッドを交互に使い、傍脊椎の筋肉へ小さな刺激を与えます。これらの筋肉は頭蓋骨から尾骨まで、背骨に沿って平行に並んでおり、背骨にサポートを与えています。リカバリー/リフレックスモードは頸部、胸部、仙骨傍脊椎筋に刺激を与え、怪我や悪い姿勢、動きが悪くなっていたことにより堅くなっていた反射神経にも刺激を与えます。

3つ目のモードは、モビライゼーションモードです。穏やかな力で横断する脊椎を調整します(ABの図を参考)。この手順で、ペアの脊椎をそれぞれモビライゼーションします。このモード中、熟練の理学療法士は、凝って固くなった関節の抵抗を探し、問題箇所の可動性や柔軟性の反応を見ながらトリートメントを施します。1セッションは30~40分間で、リカバリー/リフレックスモードとモビライゼーションモードを交互に使いながら、最後はウォームアップモードで仕上げます。